高橋工務店

吉野杉

奈良県吉野郡を貫流する吉野川の上流、川上・東吉野・黒滝村を中心に、わが国で最も古いスギ主体の人工林地帯、いわゆる吉野林地帯を生育地域としています。吉野杉は密植・長伐期による酒樽生産を目標にした、伝統的な集約育林施業で、林分全体を通直・完満・無節の優良木に育てていることで一般材の品質も非常に優れているため、銘木との境目があいまいです。吉野では120年以上を「選木」と呼び、目合、色相ともに優れた良材と言えますが、銘木となると120年ではやや物足りず、やはり150年以上の木ではないかと言われています。 種の採取から深い注意を払い、集約的な手入れにより育て上げられた吉野杉は、径級の太さ、中杢を代表とする木目の美しさなど、銘木の美観をほぼ保ちながら、木材の欠点を除去することで、一般のムク材より安く、かつ高い原木価値を実現しています。 天然の300年、400年のスギとは、また違う整った美しさがあります。さらに供給量が多いので、天然木とともに銘木と認められ、高い市場性と価値が与えられてきました。 吉野地方で木材の伐採搬出利用が始まったのは、中世のころからとみられており、天正14年(1586年)豊臣秀吉が吉野地方を領有していたころには、相当量の木材が生産され、大阪城築城に利用されたと言われます。もちろん当時は天然林材でしたが、幕府の植樹奨励もあり、跡地にスギ苗を植えて育てることが始まり、17世紀には、かなりの面積に人工造林が行われるようになりました。 吉野杉は、径級に応じた利用方法が発達しており、間伐による小径材からは各種磨丸太がつくられ、中目材からは四方無節材や造作材、化粧単板が取られ、無節柱は人気商品となっています。高齢の大径材からは、かつては樽丸、桶木がつくられましたが、現在は単価の高い高級造作材、集成材用化粧単版、割柱、建具などが主要な製品となっていますが、最も評価の高いのは、高級な木盤から取られる中杢天井板です。

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